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「八雲プロジェクト」匠のご紹介

こだわりの凧作りは、絵柄とその構造にある

Kishida Tetsuya

「今日は凧揚げ日和だ!」 岸田さんは凧を上げるのも大好き。持っている江戸凧は赤をあしらった墨絵の龍(タテ60x ヨコ40センチ)。


岸田哲弥氏。
背筋がピーンと伸び、しっかりしたお声。大正13年生まれの84歳とは思えない。中学校時代、美術学校への進学を勧められたほどの絵のうまさ。しかし時代をして、陸軍士官学校に入学。そんな彼の気骨な性格が絵の中の強い線にうかがえる。かと思えば、だるま絵のその力強い線とは対照的にひげの繊細さや、三福神、七福神絵の淡い色合い、穏やかで優しい神々の表情は本来の岸田さんの人間味ある優しさや繊細さの現れであろう。
昔の絵師の絵を参考にすることもあるが真似だけしていても面白くないからねと、独自の構図を考案している。

岸田さんは日本画と同じ筆遣いの絵師でもあり、江戸凧制作の第一人者でもある。
また、見事な骨組みもご紹介しなければ岸田作江戸凧を紹介したとは言えない。
骨組みは貴重な150年ほど経ったすす竹を使用。狂いが少ないそうで、角凧は骨組みが複雑で本数も多いため、丸いすす竹を3~4ミリの幅に平たく裂いて角を丸く落とし、さらに定期間隔に穴を空けて軽量化を計っている。中途半端な仕事はしたくないという岸田さんのこだわりである。

Kishida Tetsuya

岸田さんの描く凧絵には額装にふさわしいタッチの絵も多数ある。表装された七福神を前に「好きな絵を書いて、凧を揚げるのが楽しみ」と語る。今までの制作で一番大きな凧は3x1.8メータ、靖国神社に奉納した。


また、弓弦を張り易いように自在かぎのような部品を取り付けたり、糸目の色を凧の色に合わせたり、総てがダイナミックであり繊細なのである。
絵は羽二重(絹)で裏打ちされ見事な骨組みを奏した岸田さんの渾身の作は、正に伝統工芸の技ここにあり、を実感させられる。

岸田哲弥